伝説の男たち、再び―
『青い春』『ポルノスター』をはじめ、常に衝撃的な作品を世に送りつづける豊田利晃監督の名作『9souls』が9年振りに全国ロードショー!それを記念して豊田監督、主演の松田龍平さんにスペシャルインタビューを行いました。
作品のみどころはもちろん、原田芳雄さんとの意外なエピソードまで思い切り語っていただきます。
今回の作品:『9souls』
―9年ぶりの上映となる「ナイン・ソウルズ」ですが、映画の見どころについて教えてください。

松田龍平(以下 松田) 見どころは、登場人物の9人が本当に生きているように見えるところですね。とてもリアリティがあると言うか。本編の約2時間という短い時間の中で9人を描くことは、すごく難しいことだと思うんです。でも、この映画では9人のキャラクターがバラバラなんだけれど、作品全体を通して見るとまとまっていて一体感がしっかり感じられるので、そういうところも面白いな、と思います。
―先ほどの舞台挨拶で、実際の移動でも出演者が1台のバンで一緒に移動していたというお話を聞いて、そういうところでリアリティが生まれたのかなと思いました。そういったやり方は豊田監督の経験の中から生まれてきたものなのでしょうか?
豊田利晃監督(以下 豊田) そうですね。経験というか、映画作りってそういうものだと思うんです。この映画は9人の人間の話だったので、9人で一緒に移動するっていうのは演出じゃなくて当たり前のことだと思っていましたし、僕だけじゃなくてスタッフ全員がそのようにやろうとしていましたね。役者もその方が役にスッと入れるんで、撮影現場の雰囲気がすごくやりやすいものになると思うんですよね。
―それは豊田監督が映画を撮る上での、テーマ・こだわりになるんですか?
豊田 テーマとかこだわりっていうのは、作品によって毎回違うじゃないですか。でも、どんな作品でもどんな撮影現場でも共通して言えることは、役者さんがやりやすい状況を作ることが大切だということです。役者さんがやりやすい状況を作ることは僕たちの仕事なので、やりやすい雰囲気を作り上げることにはいつも気を付けていますね。
―では、特にお気に入りのシーンや「ここは是非観て欲しい」というシーンがあれば教えて頂きたいです。
豊田 僕は龍平が酔っ払っているシーンが面白かったなあー。改めて観たら凄く良かったよ!
松田 あの撮影、凄く辛かったんですよ(笑)
―どういう意味で辛かったんですか?
豊田 松田君はお酒飲まないもんね。
松田 そうなんです。撮影当時は未成年だったので、お酒は飲めないのに、酔っ払っているふりで演技をしなければならなかったので辛かったです。
―今でもお酒は飲まれないんですか?
松田 今は飲むようになりましたね。
―撮影の時は、酔っ払ったシーンは想像で演技をされたんですか?
松田 そうです。酔っ払った演技なので、自分なりのイメージで芝居したんですけど、ビックリするぐらい他の出演者がシラっとした顔で俺を見ていたんですよね(笑)
豊田 芝居ですからね(笑)
松田 芝居だっていうことは分かっているんですけど、「本当にこの人達つまんないんだろうな」って思ったら、10代の俺の胸に刺さって(笑)。それが本当に辛かったですね。